「ヒーローラット」— 究極のコラボレーション
多くの人にとってネズミは厄介な存在でしかありません。しかし、齧歯類好きでもあったバート・ウィートジェンスはあるとき、ネズミの並外れた嗅覚が地雷探知に役立つことに気がつきました。バートはスナネズミの嗅覚に関する研究にも触発され、「ネズミの嗅覚を地雷探知に役立てる」という型破りなアイディアを思いつきます。そんな彼のアイディアからスタートしたプロジェクトは今、世界各国のコミュニティの安全に役立っています。このアイディアは「ネズミの嗅覚」と「地雷探知」という一見結びつかないような2つの要素のコラボレーション無しには成功しませんでした。
「2018年、紛争後各地に残された地雷は6,897人もの命を奪いました。アンゴラやカンボジアなど、世界59か国に暮らす6千万人以上の人々は、日々、地雷の恐怖と隣り合わせの生活を送っています。」
信頼を高めるためのコラボレーション
バートが ネズミの嗅覚を地雷探知に利用するというアイディアを最初に共有したのは、アントワープのデザイン学校のクラスメイトであったクリストフ・コックスでした。その後、1997年には資金調達に成功し、ふたりはAPOPOを設立しました。従来の地雷除去は技術開発に頼るものでしたが、バートとクリストフはアフリカの農村開発プロジェクトを率いた経験を生かし、地域主体の、より持続可能な代替手段を提案することにしたのです。
「このプロジェクトを始めてまもなく、これをひとりで成功させることは不可能だということを学びました。」とバートは言います。資金調達はデザイン学校の教授のサポート無しにはなしえなかったし、当初の世間の消極的な反応を払拭し、信頼を高める上で、 研究機関や動物愛護団体との協力（コラボレーション）は不可欠でした。
ダイバーシティ、インクルージョン、リスペクトとのコラボレーション
「私たちには『発展途上国』と呼ばれる地域との強いつながりがありました。ただ、『発展途上国』という言葉は少し 見下した言い方だと思います。私たちは多くのことをアフリカの文化から学ぶことができるのですから。」
バートとクリストフは従来の直線的な消費社会モデルである、資源採取、製品製造、消費、廃棄という考え方には元々惹かれていませんでした。彼らは従来のモデルよりも地域密着型であり、多様な社会の統合を促進する「グローカル」なアプローチを探求し、 ネズミの地雷探知トレーニングを現地の人々と協働で行う、新たなコラボレーションを提案したのです。このアプローチは現地ですべてのことを賄えるため費用対効果が高く、従来の直線的なアプローチでは２、3日かかっていたような地雷除去が、たった30分で行えるようになりました。
「私たちの活動にとって自然と動物を尊重することはとても大切なことなのです。こうした価値観が私たちの活動の中心にあります。」
バートとクリストフが取り入れたこの持続可能な地雷除去の方法は人間と自然の一員であるネズミ、つまり「ヒーローラット」とのコラボレーションによるものです。地雷は少なくとも5キロ程度の圧力がかからないと爆発しませんが、ネズミの体重は爆発する重量よりも軽いため、地雷の上を歩いても地雷が爆発することはなく、ネズミたちを危険な目にあわせることもありません。
ネズミは知能がとても高く社会的で、 個性を持った生き物です。このプロジェクトの「ヒーローラット」たちにも敬意を込めて、それぞれに名前が付けられています。デヴィッド・ボウイやザッパといったロックミュージシャンに由来する名前はバートとクリストフがつけたもの。一方、アフリカの職員たちは有名なサッカー選手や美しいスワヒリ語の名前を「ヒーローラット」に命名しています。
新しいかたちのコラボレーション
世界各国に残る地雷を完全に除去するには、今後さらに20年から30年かかるとされています。しかし、皆さまの支援で、地雷除去のスピードを上げることができます。
ANAが作り上げた新しいかたちのコラボレーション「BLUE WINGプログラム」は、世界中の様々な課題を革新的・効果的な方法で解決しようとするバートのような「チェンジメーカー」を支援するものです。ANAではチェンジメーカーにフライト代を提供し、彼らの活動を支えています。これによりバートとAPOPOは貴重な活動資金を地雷除去に使うことができ、人々は安全な土地を取り戻すことができるのです。
除去できた地雷数：108,236
地雷除去できた安全な土地：25,345,984平方メートル
たった数回のクリックで、バートのようなチェンジメーカーの活動を支援することができます。例えば、BLUE WINGから航空券を購入したり（追加費用無し）、支援したいチェンジメーカーに直接マイルを寄付することで、私たちの世界が直面するグローバルな問題の解決に参加することができます。ANA BLUE WINGは社会貢献の新しい形のコラボレーションの提案でもあるのです。
