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デイヴィッド・グリーン
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コラボレーションの達人

途上国の白内障患者のうち3,900万人もの人たちが失明しています。外科的治療方法で一般的な眼内レンズの挿入は、その費用の高さのために多くの人が手術を断念せざるを得ないのです。
ANA BLUE WINGが支援するチェンジメーカーであるデイヴィッド・グリーンは、手術が高額になる理由は実際のレンズ製造コストではなく企業の利益率の高さにあることに気付き、医療品製造と病院の収益性を低下させることなく、収入に関係なく誰もが手術を受けられるシステムの構築に乗り出しました。デイヴィッドが設立したオーロラブ社による低価格な眼内レンズの供給は、競争原理により医療品の市場価格を押し下げ、消費者にとって有利な環境を生み出すことに成功しました。

デイヴィッドが開発に携わった眼科治療プログラムは、現在、市場において大きなシェアを占めると同時に、プログラムの30〜50%の治療は無償あるいは低価格で提供されているにもかかわらず、最も利益率が高いものとなっています。国際市場の10%を占めるオーロラブ社は、眼内レンズの価格を300ドルから最も安いもので1ドル20セントまで下げることで、およそ3,500万人の視力回復の一助となってきました。デイヴィッドの成功は、価格設定の透明性と公正な価格競争が健全かつ持続可能な市場を作り出せることを他の企業にも示しました。

画像 画像 David Greenさんによる医療品マーケットの変革

製品を市場に投入しようとする企業として成功するためには、多種多様なスキルと知識が不可欠ですが、デイヴィッドがビジネスに用いた方法は、統制と利益が価値基準の中心となりがちな従来のビジネスモデルとは対照的なものでした。ANA BLUE WINGプログラムの最新インタビューでは、デイヴィッドから多くの人とのコラボレーションを通じて学んだ経験や成功の秘訣について詳しく話を聞きました。

有機的なコラボレーションモデルが生み出す多くのメリット

専門的な知識や技術の習得は、他の人とコラボレーションをすることで得られるメリットのひとつであるとデイヴィッドは言います。

「他者とコラボレーションすることに喜びを見出しているのです。かかわっているすべての人が己の持つ知識を持ち寄って共通のゴールを達成しようとする、意識の共有がそこにはあります。」

特筆すべき点は、デイヴィッドが有機的なリーダーシップを発揮して、このようなメリットを享受していることです。これは、ヒエラルキーを使ってトップダウンで支配する大規模な組織とは相反するものです。「組織をリードすることよりも、関係者それぞれの特性や強みを理解し、共通のゴールのために能力を最大限発揮できるようにする、それが私の役割です。プロジェクトに関わる団体や個人の間に立って、彼らを密接に結びつけ、全体を形づくる、いわばオーケストラの指揮者のようなものです」

画像 画像 David Greenさんのコラボレーションの考え方:有機的なプロジェクトチーム(画像右)

デイヴィッドは自分自身を専門家とは思っていないと言いますが、問題を特定し、アイデアを生み出すためには、ある程度の臨床知識が必要になります。その知識を習得するために、デイヴィッドは人に聞くというやり方を意識的に身に付けました。「自分がよく知らない物事について他人へ質問する場合、誰もが多少なりとも抵抗を感じるものですが、私は目的を達成するために、無知であっても臆せずに質問をしてきました。私のモットーは『愚直に聞くと、賢明な答えを得られる』ということです」

コラボレーションを成功させる秘訣

コラボレーションは人がいて初めて成功するものですが、デイヴィッドは一緒に仕事をする人たちをネット検索などで探しているわけではないと言います。「たまたま出会うことがほとんどです。運か偶然です。彼らはインターネット上で容易に見つけられるような人たちではありません。私が探しているのは、それぞれの専門領域における極めて優れた能力と他者の役に立ちたいという意欲と関心を持った人たちです。今一緒に働いている人たちの中には、私が設立した会社の眼内レンズや補聴器を使っている人もいます」

さらにデイヴィッドは自身のコラボレーションには独自のメカニズムがあると言います。「何かしらの因果関係の連鎖のようなものを感じています。個人を助けるにしても、組織が多くの人々を助けるにしても、ネットワーク内に存在する徳が高ければ高いほど、物事は実現しやすくなります。実現に向けて必要な人と資金を集めるためには、ビジョンに十分な説得力がなければなりません」

時には、あるコラボレーションが他のコラボレーションにつながり、将来のプロジェクトに役立つこともあります。例えば、眼病治療に効果があるものの、適応外とされていた癌治療薬を、デイヴィッドはさまざまな国際機関に掛け合って、薬事承認が早くおりるよう手助けしたことがあります。この時の経験やネットワークが、今、関わっているスタートアップ企業のコロナ治療薬のプロジェクトに役立っています。「たった1回の注射で生存率が85%も向上するのですよ」と彼は熱い口調で語ります。

仕事を楽しくすることの大切さ

多忙なデイヴィッドもたまの休みには休養スイッチに切り替えるそう。一方で、世界中の仕事仲間や友人と連絡を絶やさずにいるべく、仕事と楽しみを両立させる方法を編み出しました。「週末はジョギングをしたり、息子や友人と一緒に過ごしたり、瞑想をしたりしますが、仕事もしています。実は週末のほうがよい仕事ができるのです。というのも、仕事の関係者は世界各国に存在していて、私にとっては週末であっても、時差の関係で彼らにとっては平日のため、電話で連絡を取っています。仕事に楽しみを見つけ出そうとしているのですよ。穏やかに日々の生活を送っていると言ってもよいかもしれません」と、微笑みながら説明をしてくれました。

デイヴィッドが持つ競争心の多くは、意外なことに趣味のひとつであるレスリングによって形成されました。「レスリングは規律と競争心を教えてくれたと思います。レスリングで得たことは、競合する製薬会社との過当競争の中で勝つために役立っています。この競争は、誰も聞いたことのない方法で、誰もが医療を受けられる環境を作るための決闘ですからね」

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デイヴィッド・グリーン

デイヴィッド はミシガン大学を卒業し、社会学の学士号(1978年)および公衆衛生学の修士号(1982年)を取得しました。卒業後、彼は医療技術やヘルスケアサービスをすべての人が持続的に、購入可能、利用可能にするために、多くの組織と協力して仕事をしてきました。彼はマッカーサーフェロー、アショカフェローであり、シュワブ財団から一流の社会起業家として認められています。また、ジョンズ・ホプキンス・ウィルマー眼科医院の教職員でもあり、失明防止における人道的取り組みに対して「スピリット・オブ・ヘレンケラー」賞にも選ばれています。

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