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デイヴィッド・グリーン
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経済を「鍼治療」する — 持続可能なサービス提供のための革命的な事例

画像途上国における失明の一番の要因は白内障とされています。ある程度の金銭的余裕があれば、手術を受けて濁った水晶体の代わりに眼内レンズを入れることができますが、世界中に2億5900万人いると言われる視覚障害者のうち、3900万人の人たちは金銭的な理由から手術を受けることができないとされています。治療可能な病気を抱えたまま、「いたずらに」に視力を失ってしまうのです。 デイヴィッド・グリーンはすべての人たちが手術を受けられるように、革命的で実用的、しかもシンプルな解決策を発見しました。彼が興した事業は眼科医療業界のさらなる利益向上と長期的な持続可能性を同時に実現する画期的なものでもありました。

マージンの縮小 ― 「必要なのは針と糸だけ」

画像瞑想と旅を通して、デイヴィッドは若い頃から世界の誰かの役に立ちたいと思っていました。その思いは公衆衛生学の修士号取得の原動力となり、また、Seva(眼科治療プログラムの開発を行う米国の非営利団体)での活動に結実していきます。当初ボランティアとしてSevaで働き始めたデイヴィッドは、後に正式なスタッフとなり、インドにあるアラヴィンド眼科医院とネパールのアイケアプログラム への医療機器の寄付を募る活動に従事しました。寄付される主要な医療機器のひとつが、手術で取り除かれた水晶体の代わりとなる眼内レンズでした。

医療機器の確保を寄付に頼るということには課題もあります。寄付が減れば、当然ながら、機器確保のための新たな方法を考えなければなりません。この課題に直面した際、デイヴィッドは「シンプルで実用的な考えを持つことにした」と言います。

「 医療機器がどのように製造されているのか、実際に確かめてみることにしました。その結果わかったのは、製造にはそれほどコストがかかっていないということでした。例えば、縫合。必要なのはただ針と糸だけ。『研究開発』という名のもとで針と糸が製造される場合、大きなマージンが発生し値段が跳ね上がっていたのですが、製造そのものは低コストだということがわかりました。」その後、デイヴィッドは眼科医療に精通する人たちを集め、アラヴィンド眼科医院とSevaの同僚の協力を得ながら、白内障治療のための眼内レンズを低価格で開発するオーロラブ社を1992年に設立しました。

経済の「鍼治療」を通して世界のバランスを保つ

画像今日、私たちは不均衡な世界に生きていると言えます。クレディ・スイス銀行のデータに基づいたオックスファムの研究によると、富の一極集中が加速しており、世界の全人口のうちのたった26人が、世界の富の 50%を保持しているとされています。

このような不均衡な世界においては、すべての人々のニーズに応える解決策を見つけることが、ますます重要になっています。私たちの健康とウェルネスに関わる分野では、ことさら、喫緊の課題と言えるでしょう。医療費を賄えないからと言って低所得者を市場から締め出す現状は、「価格設定が不透明で、価格競争を欠くものです」とデイヴィッドは指摘します。結局のところ、このような市場に長期的な持続可能性を見出すことはできません。

画像「私がやっているのは、リソースが集中しているところに『鍼を打つ』、つまりプレッシャーをかけ、『鍼治療のような全体への波及効果』を図り、リソースの再配分をすることです。」このいわゆる『経済的な鍼治療』によって医療業界のリソースを再配分することで、医療にアクセスできない低所得者に、治療を受けられるようにする公平な業界を作ろうとするものです。アラヴィンド眼科医院とSevaの協力を得ながら、デイヴィッドは階層的な 費用負担に基づく自己資金調達システムを構築しました。このシステムでは、高所得者の医療機器費用負担率を高めることで十分な資金を確保する一方、貧しい患者には無料で手術や医療サービスを受けることを可能とする仕組みになっています。

デイヴィッドが開発に携わった 眼科治療プログラムは、市場最大のシェアを占めると同時に、プログラムの30〜50%は無償あるいは低価格で提供されているにもかかわらず、最も利益率が高いものとなっています。オーロラブ社の低価格な眼内レンズは、他社の価格競争参加を促し、眼内レンズのさらなる価格低下につながっています。

画像デイヴィッドの解決策が示すもの、それは、既存の市場においてどのように価格低下を促すかということだけではありません。彼の解決策は新たな市場を創出すると同時に、利益率向上と持続可能性の両立が可能であることを示しています。

「オーロラブ社は国際市場の10%を占めています。眼内レンズの価格を300ドルから最も安い物では1ドル20セントまで大幅に下げることにより、およそ3500万人の人たちの眼科治療の一助となってこられたのです。」

持続可能性をサポートする

画像ANAによる「BLUEWINGプログラム」は、 革新的で実用的な方法で、数百万人の生活を改善しようとするデイヴィッドのような「チェンジメーカー」を支援するものです。ANAではチェンジメーカーにフライト代を提供し、彼らの活動を支えています。これによりデイヴィッドはより多くの医療機器を開発し、より多くの人たちがアクセスできる持続可能な医療を提供することができるのです。

デイヴィッド・グリーンの活動概要をご覧になりたい方はこちら

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デイヴィッド・グリーン

デイヴィッド はミシガン大学を卒業し、社会学の学士号(1978年)および公衆衛生学の修士号(1982年)を取得しました。卒業後、彼は医療技術やヘルスケアサービスをすべての人が持続的に、購入可能、利用可能にするために、多くの組織と協力して仕事をしてきました。彼はマッカーサーフェロー、アショカフェローであり、シュワブ財団から一流の社会起業家として認められています。また、ジョンズ・ホプキンス・ウィルマー眼科医院の教職員でもあり、失明防止における人道的取り組みに対して「スピリット・オブ・ヘレンケラー」賞にも選ばれています。

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